翡翠の森
翡翠の森
・・・
――クルルに帰る。
その決意を、ロイも薄々感じとっていたようだった。
彼に話そうとする度に、話題を変えられたりして。
(でも、今日こそは言わなくちゃ)
しばらく続いた慌ただしさも、幾分落ち着いたように思う。
双方の働きかけにより、若干ではあるが互いについての考え方も改善してきたようだ。
「……どうして? まだ、やるべきことはあるよ」
恐らく彼が意図的に軽くしていた声の調子が、一気に暗くなる。
「だから、よ」
目指すものには、まだ遠く及ばない。
だからこそ、やり遂げたいと思うのだ。
――クルルで。
「こっちの様子も気になるけど、アルフレッドやキースさん……ロイが頑張ってる。その成果は、少しずつ表れてるわ」
想定していた混乱も最小限に抑えられているし、少数ではあるが、これまでを改めようという声も出始めた。
「ああ。だから君が……」
「だから……私の故郷でも」
ここで皆の手伝いができるなら、もちろんそれも嬉しい。
何よりも、大好きな人の側にいられるのだ。