翡翠の森
お前が祈り子だと言われた時、途方もない重圧と孤独に苛まれた。
どうして、自分が。
逃げたくて、誰かに代わってほしくて。
誰もこの気持ちを、理解してくれようとは思わないのだと。
だが、他の子が選ばれていたら、自分はどうしただろう?
(それに、今は一人じゃない)
一人きりで祈ってくれ、などとは誰も言わないのだ。
この国に来て、ジェイダは寂しいとは思っていなかった。
「でも、太陽を浴び続けるなんて、無茶苦茶だ。何で、そんなことになったんだか」
「そうね。昔は、何か特技のある人が選ばれていたらしいけど……議会が設けられてからは、メンバーの誰からも文句が出ない、私みたいな子が選ばれやすいんじゃないかな」
アルフレッドやデレクに言われた通り、どこにでもいそうな自分が祈り子なのは、そうだとしか考えられない。
苦笑いが漏れる。
町長から言い渡された時は、腹立たしくて仕方なかったのに。
「ジェイダは可愛いよ。だからこそ、アルがあんな意地悪なのさ。……でも、だめだよ」
(……何が……!? )
意味深な言葉に、真っ赤になってしまう。
直にアルフレッドは国王になるのだし、第一、彼がジェイダに無関心なのは分かりきっている。
「考えたこともなかったけど。兄弟って、女の子の好みも似るのかなあ」
「……仲がいいのね」
先程の話だと、ロイは父親にあまり可愛がられなかったのだろう。少なくとも、表面上は。
けれど、兄は違うのだ。
王家の家族関係というのは、どんなものか全く不明だが、兄弟間に確執があってもおかしくない気がするのに。