翡翠の森
翌日。
再び森に赴いたアルバートを見て、ロドニーは目を丸めた。
「よく来たね。それに、こちらは……」
「……じいや」
じいと呼ばれたデレクは、苦い顔で一歩後ろに控えている。
実はあの後、こんなことがあった。
『……分かりました。その代わり、次からは私もご一緒します。いいですね』
許可が下りたことに驚いたが、デレクが譲歩してくれたことが嬉しい。
「そう。よろしく、じいや」
軽い目礼で済ませたデレクに気を悪くすることなく、いや、少しカチンときたのか。
ともかく、ロドニーはにっこり笑ってみせた。
「……デレクと申します」
「これは失礼。ロドニーです」
二人のやり取りに吹き出すと、ロドニーも悪戯っぽく流し目をくれた。
「それにしても、まさか本当にお許しが出るなんてね。……嬉しいよ」
昨日ならば、その言葉を大袈裟だと思っただろう。
「本当を言うと、諦めかけてたんだ。野蛮な異国人などと、会わせる大人がいる訳ないと……恥ずかしいことだ」
だが、今はそうは思えない。
側で、デレクが言葉を詰まらせている。
「なのに、こうして君らは来てくれた。まだまだ捨てたものじゃない」
――僕たちの国は、まだやれるんだ。