悪女のレッテルを貼られた追放令嬢ですが、最恐陛下の溺愛に捕まりました


「すっかり短くなってしまったな」


 指し示すのは、私の髪だ。

 肩甲骨まであったアイボリー色の髪は、剣で切られた長さに合わせてカットした。ボナさんがアゴの位置と同じくらいに可愛く整えてくれたので、見た目はそう悪くない。


「シャンプーが楽で良いですよ。これから暑くなりますし、ボナさんにカットしてもらえて助かりました」


 ベルナルド様はわずかにまつ毛を伏せて黙り込む。

 傷が残ったのを気にしているの?全ては私が無茶をしたからで、あなたのせいじゃないのに。

 すると、彼は無言のまま自身のうなじへ両手を伸ばした。黒いチョーカーの留め具を外している。


「後ろを向け」


 ドキドキしながら従うと、長い指が私の首に這う。チョーカーを首に巻かれ、チャームが揺れた。


「傷跡が消えるまでは、それをしておくといい」


 善意で貸してくれただけかもしれないのに、心に満開の花が咲いたような気分になる。

 緊張して、恥ずかしくて、それ以上に嬉しい。 


「お借りしてもよろしいのですか?」

「あぁ。エスターの首は細いから、俺のは少し大きいな」

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