悪女のレッテルを貼られた追放令嬢ですが、最恐陛下の溺愛に捕まりました
予想外の優しい命令に言葉が出なかった。
顔を上げると、吸い込まれそうな黄金の瞳に映される。
「お前を残して死ぬとわかっていて、縛るようなセリフは口にしたくなかった。だが、俺は悪い男だからな。どうしても、お前にそばにいてほしい」
自分を悪役にするわりには、甘すぎる独占欲だ。深い感情が込められた言葉はまっすぐ心に刺さる。
涼しい表情で再びこちらに手を伸ばされた。
無防備な首筋をなで、大きな片手が頬に添えられる。
「手を伸ばしたら、傷つけてしまうのではないかと怖くなる。それでも狂おしいほどに、お前に触れたくてたまらない」
それは獲物を目の前にした獣の本能?それとも、愛のある行動?
頭はとっくにキャパオーバーしていた。
胸の高鳴りは最高潮で、体の感覚が過敏になる。
ベルナルド様って、こういう口説き文句を言う人だったっけ?いつも相槌を打つ程度で、口数もあまり多くない。
ただ黙って私の話を聞いてくれて、めったに素直な気持ちを伝えてくれなかった。
なのに、どういう心境の変化だろう?もしかして、私の告白に真摯に答えようとしてくれているのかな。