悪女のレッテルを貼られた追放令嬢ですが、最恐陛下の溺愛に捕まりました
現在、ふたりで取り組んでいるのはベルナルド様の治療薬を完成させるための実験だ。あらゆる書物に目を通しながら、ドミニコラさんが各国をまわって集めてきた植物を調合している。
彼いわく、レドウ草という薬草があれば、完成する可能性が極めて高いらしい。
しかし、めったに一般の市場には流通しておらず、似た成分の植物をかけ合わせたが、結果はご覧のとおりだった。
「いくつか他の薬草にも目星つけて、明日もう一度市場で探してみましょうか」
「そうだね。早いところ仕上げないと、主の病がいつ悪化してもおかしくない」
現実に引き戻された感覚がした。
甘い恋情に浮かれている場合ではない。ベルナルド様の抱える根本的な問題はなにひとつ解決していないのだ。
会えない間、つらくないかな。仕事に追われて帰れないようだけど、ちゃんと休めているのかしら?
少しでも長く共に生きたい。そのためにはレドウ草が鍵になる。
翌日、ドミニコラさんと馬車で市場へ向かった。あらゆるテントをまわったが、目当ての薬草は手に入らないままだ。