悪女のレッテルを貼られた追放令嬢ですが、最恐陛下の溺愛に捕まりました
国外追放をされたトラウマを嫌でも思い起こさせる人物との再会に顔をしかめるが、向こうはなんとも感じていない。
「まさか、また君に会えるとはね。やっぱり俺たちは運命の相手なんだ。今でも俺の気持ちは変わっていないよ」
「冗談はやめて。私が殺人未遂の罪を被せられたとき、少しも庇ってくれなかったでしょう?」
「あのときは悪かったよ。でも、俺は信じていた。君は犯人じゃないって」
なんて都合の良い人なのかしら?薄っぺらい口説き文句ばかり並べて、私の容姿しか興味がないのはわかっているのよ。
黒い感情がふつふつと込み上げる。脳裏をよぎったのは、クリーム色の髪をハーフアップにしたシルエットだ。
「この前、あなたの婚約者のカティアとここで会ったわ。植物園の経営を手伝っていると言っていたけど、彼女と一緒に来ているの?」
すると、彼は予想を遥かに超えるひとことを放った。
「彼女とは別れたよ。もう、町にもいない」