悪女のレッテルを貼られた追放令嬢ですが、最恐陛下の溺愛に捕まりました
衝撃的な返答に言葉が出ない。
「君は知らないだろうけど、カティアはエピナント国のベルナルド陛下の城へ忍び込んで事件を起こしたんだ。そんな女、婚約破棄するに決まっているだろう。やっと別れる理由ができて、せいせいしたね」
グレイソンは、私もその事件の被害者であるとは把握していないようだ。
古城での一件でブルトーワ国に送り返されたと聞いてはいたが、政界に顔が効く権力者の娘であるカティアの罪は不問にされると思っていた。
しかし、相手が隣国の王だったためか、正式に裁かれたらしい。
犯した罪と相応の罰が与えられたのは納得したものの、あんなに愛していたはずのグレイソンとの婚約がなくなって、おまけに『せいせいした』なんて言われる始末に、素直に受け止められない自分がいる。
「城を荒らした事件が明らかになった後に、取り巻きたちがエスターの毒の件は冤罪だったと証言したんだ。カティアに対しての風向きが変わって、暮らしにくくなったんだろうね。町を出て行ったのはつい最近の話さ」