悪女のレッテルを貼られた追放令嬢ですが、最恐陛下の溺愛に捕まりました
自分勝手なセリフに身震いがする。勢いよく手を振り払い、嫌悪感をあらわにしながら睨みつけた。
「触らないで。今さらなんのつもり?私はあなたの妻になる気はこれっぽっちもないわ。それに、今は薬師として仕事で来ているの。興味のない話に付き合う時間はない」
「相変わらずキツいところも素敵だね。市場で薬草を探しているのかい?俺の植物園にあるなら、君にだけ特別に無償で渡してもいい」
「残念ね、目当てはレドウ草なの。めったに手に入らない希少な薬草よ。簡単に言わないでちょうだい」
すると、グレイソンは目を見開く。
無理難題を提示したつもりの私は、ニヤリと口角を上げる彼に顔をしかめた。
「レドウ草だって?これは運命だ!ウチに山ほどある」
「嘘でしょう?騙されないわ。私が働いていた頃はなかったじゃない」
「父が苗を買い占めて、プライベートな庭に植えているんだよ。希少価値のある薬草を勝手に持ち出されないようにね。そんなものでいいなら、いくらでもあげる」