悪女のレッテルを貼られた追放令嬢ですが、最恐陛下の溺愛に捕まりました
「陛下を探していたらバッタリ鉢合わせしちゃって。それにしても、噂が本当だったとは。いいとこ邪魔してすみません」
「いいとこ?よくわからないけど、気にしないでください。ラヴィスとお話ししていただけですから」
「ラヴィス!?」
「名前で呼んでる」と小さく震えた彼は、動揺よりも興奮が勝っていた。やはり、冷酷陛下のペットにやすやすと触れている私が珍しいのだろうか。
「初めまして、エスターと申します。この城の騎士さんではありませんよね?」
「あぁ、申し遅れました。俺はレンテオです。どうぞよろしく」
歳や趣味を聞かれて薬師をしていることなどをざっくり答えると、彼は王都の城で働く騎士団長で、二十七歳だと知った。
距離を詰めるのがうまく、いつのまにか自然に敬語が取り払われ、「エスターちゃん」とフランクに話しかけてくる。
ベルナルド様よりひとつ歳下?若くして団長になるなんて、相当腕の立つ騎士なんだな。