悪女のレッテルを貼られた追放令嬢ですが、最恐陛下の溺愛に捕まりました
ひとしきり笑ったあと応接室に案内をすると、陛下から謁見の間に呼び出された。全身漆黒の正装で固めた陛下は、圧倒的な存在感だ。面と向かうと、カリスマオーラをひしひしと感じる。
レンテオさんは胸に手を当てて片膝をついた。
「お久しぶりです、陛下。お時間をとってくださりありがとうございます」
「遠路はるばる何の用だ。仕事は書簡で指示しただろう」
「直接お会いしてご相談したい話がありましてね。少々、厄介な」
他の使用人や、たまに王都から来る使者に比べて物怖じしない態度だ。ふたりの間にはしっかりとした信頼関係があるらしい。
私がここに居たらいけないよね。とても重要な政治の話かもしれないし。
案内役を終えて部屋を後にしようとするが、レンテオさんに呼び止められる。
「ストップ。エスターちゃんもここにいて。すごく関係のある話題だから」
状況が掴めずに戸惑っていると、騎士団長の彼は胸元から一枚の封筒を取り出した。
受け取った陛下はシーリングスタンプを剥がし、手紙の文字を目で追った瞬間に顔をしかめた。