悪女のレッテルを貼られた追放令嬢ですが、最恐陛下の溺愛に捕まりました
たしかに、モンペリエ国が不信感を抱くのも納得できる。舞踏会の件は、侵略を狙う国の基盤を揺るがす情報を掴むために仕掛けたのだろう。
「おそらくこの誘いを蹴れば、ますますこちらの動きを探られるでしょう。城の大臣も判断に迷って、俺を使者として飛ばしたわけです。もちろん、行くとなれば少数精鋭の部下とともに護衛しますよ」
すると、陛下は黄金の瞳に私を映した。
「お前はどうだ。経験はあるのか?」
「経験?なんのでしょう」
「ダンスに決まっている」
その瞬間、嫌な予感がよぎる。
「まさか、私を連れて舞踏会に行くつもりですか?」
「あたりまえだ。他の女と踊る気はない」
嘘でしょう!
衝撃的な展開に唖然とする。まさか、ここに残された理由が、ペアとして同伴するからだったなんて。
こちらへ歩み寄った陛下は、優雅にあごへ手を当てて見下ろした。
「ボナにドレスを発注させておく。舞踏会は二週間後だ。それまでにステップを仕上げておけ」
「そんな無茶ですよ。私、プロムの練習くらいしか経験がありません」
「なら、本番までに頭と体に叩き込め」