悪女のレッテルを貼られた追放令嬢ですが、最恐陛下の溺愛に捕まりました
「あぁ、ごめん。俺はまたいいとこを邪魔して」
「やましいことはなにもしてませんから、早く記憶を消してベルナルド様を起こしてください」
ぐったりと眠る陛下は騎士達によって馬車に運ばれ、古城に着いても目覚めなかった。手の傷のほかに外傷はなく、ルビ草の酒で酔っているだけだとレンテオさんは言う。
まさか、ベルナルド様が獣人だったなんて。酔っていたとはいえ、心臓に悪い。
甘えながら喉を鳴らし、首筋にすり寄って噛みつかれた。痛くないように加減されていたのが、スキンシップのようでたまらない。
いったい、どういうつもり?お肉を食べる夢でも見ていたのかな。
帰りの馬車でレンテオさんと向かい合って座り悶々としていたとき、歳の近い君主の酔いっぷりがツボにハマった彼に笑われた記憶がよみがえる。
『甘噛みは求愛行動だから。気に入っている子には、本能的に噛みつきたくなるもんだよ』
『まさか。そんなのはありえません。詳しくは言えませんが、私たちの関係は複雑なんです』