悪女のレッテルを貼られた追放令嬢ですが、最恐陛下の溺愛に捕まりました
必死に否定すると、牙をのぞかせてにこりとしたレンテオさんは楽しそうに続ける。
『ははっ、そういうことにしておく。城で初めて会った日に、愛し合っている雰囲気は感じられないなんて言ってごめんね。今日の舞踏会で踊っている姿は、どのペアよりお似合いだったよ』
一晩古城に泊まる流れになった騎士達と別れて自室のベッドに入っても、与えられた熱が忘れられない。
あんな陛下は初めて見た。クールで余裕があって、常に他人を寄せつけない彼が秘めていた獣の本能は全身が震えるほどの引力である。
とんでもない情を心に刻み込まれてしまったようだ。射抜くような鋭い視線の熱を知ってしまったら、後戻りはできない。
ねぇ、どうして?ふたりの間に、特別な感情はないはずでしょう?いつも自分の気持ちを多く語らないでこっちを振り回してばかり。
「もう、恋とか愛とかはこりごりなのに……」
胸に宿った淡い感情に気づかないフリをして、薄い毛布をかぶった。