悪女のレッテルを貼られた追放令嬢ですが、最恐陛下の溺愛に捕まりました
ダンスの練習をした日も、ベルナルド様を意識しすぎて集中できないとこぼした本音は、本人に筒抜けだったんだ。
彼が突然ハグしはじめた理由も察する。
かぁっと頬が熱くなり、羞恥の限界を超えた。
「どうしてすぐ教えてくださらなかったんですか」
「お前がひとりで勘違いしていただけだろう。隠していたつもりはない」
「だからって……」
毎日毛並みを撫でたり尻尾で遊んだり、それはもうペットとたわむれる気持ちで無邪気に楽しんでいた。
お茶会と称して隣でお菓子を食べて一方的に話しかけ、彼のプライベートの時間を奪っていたのだ。
庭に来るのも気まぐれで、興味がなさそうに目を閉じて眠っていた態度にも納得がいく。
ちゃんと相手をしてくれていた彼がどんな気持ちで私の話を聞き、たわむれを受け入れていたのか、想像するだけで心臓が爆発しそう。
本当に、ラヴィスがベルナルド様なんだ。彼は正真正銘の獣であり、エピナント国の種族をまとめる百獣の王である。
「俺を枕にして寝た女は初めてだ」
あぁ、誰か嘘だと言って。白い毛並みに包まれて、庭で夕方まで爆睡した黒歴史に肝が冷える。今すぐここから逃げだしたい。
顔が赤くなったり青くなったり忙しい私に、全てを知っていたレンテオさんはお腹を抱えて笑った。
お互いを知り、ふたりの距離が少しずつ縮まる一方で、モフモフの癒しは二度と経験できないと察した私は絶望に打ちひしがれたのだ。