悪女のレッテルを貼られた追放令嬢ですが、最恐陛下の溺愛に捕まりました
ルカロ草を口にしていないのに、息ができない。町民たちから吐き出される毒が、身体中に回っていく。
足元がふらついて、視界が真っ暗になった。
それからの記憶は曖昧だ。
ショックで気が動転している間に、町の役人が来て捕らえられた。いくら無実を訴えても、誰も信じてくれない。
カティアの取り巻きは私が不利になる証言ばかりして、この町の全員が操られていると気づいた。
カティアは、婚約者のグレイソンが熱をあげている私が邪魔で仕方がなかったのだろう。カティアの両親の訴えで、罰が下される。
「エスター=ランジェットを国外追放とする。二度とこの町の……ブルトーワ国の地を踏むことは許さない。命を奪わないだけ感謝するんだな」
牢を出ると、ランジェット夫妻が泣きながら私の元に駆けつけた。
「心の綺麗なエスターが、殺人をするはずがないわ」
「私たちが、娘の無罪を訴え続ける。あんな罰を背負わなくていい。認めてもらえなくても、共に町を出る。一緒に暮らそう」