追放された聖女はもふもふとスローライフを楽しみたい!~私が真の聖女だったようですがもう知りません!~
騒ぎが落ち着いたところで、私は彼らに声をかけた。

「あの、私は巻き込まれただけのようなので、日本へ帰りたいのですが」

しかし、告げられた言葉は非情な内容だった。

「申し訳ない、召喚魔法は片道しか機能しないのだ。あなたには悪いが、元の世界へ帰る方法はない。ついでに言うと聖女以外は用なしだ。近いうちに、城から出て行ってもらおう」

「そんな……」

全く知らない世界で、何も知らないまま放り出されて、一体どうやって生きていけばいいのだろう。

「大丈夫だよ、お姉さん。生活できないのなら私の使用人にしてあげる!」

いいことを思いついたという様子で、スミレはにこにこと微笑んでいる。

使用人にするも何も、彼女にこの場の人事権はないよね?

「スミレ様たちを部屋へお連れしろ」

キーラン王の命令で、私たちは客室に通された。

あとで、聖女には豪華な私室が、町民の私は出て行くまでの間滞在する使用人部屋が与えられるらしい。
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