追放された聖女はもふもふとスローライフを楽しみたい!~私が真の聖女だったようですがもう知りません!~
気まずい空気が流れる中、コンコンとノックが響き、キーラン王太子が部屋に入ってきた。

「やあ、待たせましたね。部屋の準備ができたから呼びに来たのですが」

王太子の姿を目にした途端、スミレが立ち上がって彼の傍へ向かう。

「あの人、酷いんですぅ! 町人のくせに、聖女の私に暴言を吐くの!!」

私はあんぐりと口を上げた。「町人はあなたの方でしょう!?」と突っ込みたいが、鑑定の力が露見してしまうのは困るので、我慢して言葉を飲み込んだ。

だいたい、今の状況で言ったところで、どこまで信用してもらえるか……

そもそも職業が自己申告の時点で穴だらけだと思うんだよね。私みたいに誤魔化し放題だよ。
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