追放された聖女はもふもふとスローライフを楽しみたい!~私が真の聖女だったようですがもう知りません!~
許可を得た私は、さっそく書類仕事に取りかかる。

「俺もやるっす!」

意外なことに、テオも手伝ってくれた。

力に頼りがちな脳筋と思いきや、彼はなかなか書類仕事に向いているようだ。計算も速い。

二人がかりで仕事を進めた結果、昼には溜まった書類仕事が全部完了した。

「やりましたね」

「聖女様と俺にかかれば、楽勝っすね。なんだか、お腹が空いたっす!」

「そういえば、ちょうどお昼の時間ですね」

私たちが作業している間に、ドワーフたちは鍋の設計図を書き終えて試作品の打ち合わせを始めている。仕事が速い。

「良ければ、何かお昼ご飯を作りましょうか? 私は手が空きましたので」

「そりゃあ、助かるが……いいのか?」

「料理の腕には自信があります」

「なら、頼む。俺たちは作業を続ける。材料もキッチンにあるから、どれでも好きなように使ってくれ」

言われたとおり、テオと二人でキッチンに回る。

工房のキッチンは石造りの重厚な造りで、魔王城よりも若干設備が古かった。

「岩盤……?」

「ああ、この辺りは料理に岩盤や直火を使うんすよ。直火料理をするなら、向こうに道具があるっす」

「テオって博識ですよね。すごいです」

「いや、昔この辺りに来たとき、使ったことがあるんで。火加減は俺が見るっすよ」

心から感心すると、彼は恥ずかしそうにモゴモゴ答えつつ、耳と尻尾を出した。

人型を取るのが得意ではないらしく、感情が高ぶると獣の部分が出てしまうのだとか。
< 130 / 211 >

この作品をシェア

pagetop