追放された聖女はもふもふとスローライフを楽しみたい!~私が真の聖女だったようですがもう知りません!~
「いいですよ。ただし、条件があります」

「なんだ、言ってみろ!」

「揚げ鍋以外の調理器具も作ってください。代金はお支払いします」

「なんだと!?」

予想外の答えだったのか、トルンが大きな声を上げた。

「私は魔王城で食堂を始める予定なのですが、欲しい調理器具が不足しているんです。圧力鍋にパスタ鍋、ミキサー、たこ焼き器、お菓子作りの道具も欲しいですね」

「全部武器じゃねえ!!」

「申し訳ないですけど、私、スキルが魔法系に偏っていますので……武器を使わないんですよね。ですから、今後も調理道具を作ってくださるなら、ソースのレシピを提供します。今日作った焼きそばソースだけでなく、他のソースも」

「くっ……!」

少し迷いを見せたトルンたちだけれど、ソースの魅力にはあらがえなかったようで、渋々頷いてくれた。

「わかった、ソースのためだ。『熱鍋の郷』は聖女様に協力しよう」

「ありがとうございます。では、これらの調理器具について説明しますね」

嬉しくて、ついニマニマと笑ってしまう。それを見たテオが「良かったっすね、聖女様!!」と言って、また尻尾を振った。
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