追放された聖女はもふもふとスローライフを楽しみたい!~私が真の聖女だったようですがもう知りません!~
そんなある日、いつものように『熱鍋の郷』を訪れた帰り道、私は道中で素行の悪そうな魔族の集団に遭遇してしまった。
転移の魔法陣のすぐ傍で待機されていたので、計画的に狙われたようだ。居並ぶのはドワーフではなく、獣人系の魔族たちだった。
傍らにいるテオが私を庇うように前へ出て、「グルル……」と低いうなり声を上げる。
「聖女様、お守りするっす!」
「ありがとう、テオ。でも、私も手伝います」
聖女のスキルは、他人の攻撃補助にも向いているのだ。
本格的に誰かと戦うのは前世以来で、体の感覚は鈍っているけれど、テオの手助けならできるだろう。
「ついでに、シリルに教えてもらった魔法も試してみましょう」
あれから、私は全属性魔法についてシリルの指導を受けている。
一番得意なのは光魔法だけれど、その他の属性の魔法でも簡単なものは使えるようになった。シリルは子供の頃からなぜか私に甘いので、何をやっても「すごい」と褒めてくれる。
怪しい集団は、私を見て一斉に武器を構えた。
一体、なんだというのだろう。
「魔王様を誑かす、忌ま忌ましい人間の女め……! キーランの間者か!? どうやって、結界をかいくぐった……!?」
一人が、憎々しげに私を睨んで口を開く。
「あらあら、そういう口ですか」
テオもそうだったが、若い魔族の間では、私の前世の行いについて知られていないケースが多い。
だから、魔王の傍に侍る人間に不快感を示す者がたまにいるのだ。
長年にわたる、キーランを始めとした人間の国のおかげで、モフィーニアの魔族は人間を嫌っているので……
普通は嫌味を言われる程度なのだが、目の前の集団は血の気が多い。
転移の魔法陣のすぐ傍で待機されていたので、計画的に狙われたようだ。居並ぶのはドワーフではなく、獣人系の魔族たちだった。
傍らにいるテオが私を庇うように前へ出て、「グルル……」と低いうなり声を上げる。
「聖女様、お守りするっす!」
「ありがとう、テオ。でも、私も手伝います」
聖女のスキルは、他人の攻撃補助にも向いているのだ。
本格的に誰かと戦うのは前世以来で、体の感覚は鈍っているけれど、テオの手助けならできるだろう。
「ついでに、シリルに教えてもらった魔法も試してみましょう」
あれから、私は全属性魔法についてシリルの指導を受けている。
一番得意なのは光魔法だけれど、その他の属性の魔法でも簡単なものは使えるようになった。シリルは子供の頃からなぜか私に甘いので、何をやっても「すごい」と褒めてくれる。
怪しい集団は、私を見て一斉に武器を構えた。
一体、なんだというのだろう。
「魔王様を誑かす、忌ま忌ましい人間の女め……! キーランの間者か!? どうやって、結界をかいくぐった……!?」
一人が、憎々しげに私を睨んで口を開く。
「あらあら、そういう口ですか」
テオもそうだったが、若い魔族の間では、私の前世の行いについて知られていないケースが多い。
だから、魔王の傍に侍る人間に不快感を示す者がたまにいるのだ。
長年にわたる、キーランを始めとした人間の国のおかげで、モフィーニアの魔族は人間を嫌っているので……
普通は嫌味を言われる程度なのだが、目の前の集団は血の気が多い。