追放された聖女はもふもふとスローライフを楽しみたい!~私が真の聖女だったようですがもう知りません!~
「結界を突破する人間など、見過ごせるわけがない! 今、ここで消えてもらわなければモフィーニアの新たな脅威となってしまう!」

「いや、その結界、私が張ったんですけど」

「ふざけるな! この期に及んで戯れ言をほざくとは!! 伝説の聖女様は百年前にお亡くなりになったのだ!!」

「ですよねー。信じるわけないか……はぁ」

ここは、正当防衛させていただこう。

彼らの一部は、早くもテオに殴りかかっているし、話し合いができる空気ではない。

「ええと、初級の木の魔法!」

私が魔法と使うと、男たちの足下の地面が割れ、木の根がうにょうにょと生え始める。根っこに足を取られた彼らは、次々にその場で転び始めた。

起き上がろうにも、根っこに絡まって身動きが取れない模様。

「聖女様、助かるっす!!」

木の根の上を器用に移動するテオは、敵意を隠さない魔族たちを素手で殴って昏倒させていく。

「そぉれ、初級の雷魔法!」

残りの魔族は私の雷魔法で痺れさせた。

騒ぎに気づいて駆けつけてきたパトロール中の兵士に、テオが魔族の集団を引き渡す。

そして、私はテオに担がれて、さっさと魔王城へ帰還したのだった。
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