追放された聖女はもふもふとスローライフを楽しみたい!~私が真の聖女だったようですがもう知りません!~
テオや周りにいた魔族たちを別れ、私はシリルと一緒に部屋に向かった。
よほど気がかりなのか、シリルは私の部屋にまで入ってくる。
彼には前世のことでトラウマめいたものを与えてしまったかもしれない。
その罪悪感もあり、こういうとき、私は彼に甘くなってしまう。
「本当に私は大丈夫ですよ、シリル。どこも怪我していませんし、新しい魔法も試せましたし」
ベッドに腰掛けると、シリルも並んで座り、私の手を取って言った。
「わかってる、でも怖いんだ。前のときみたいに、知らないうちにエマがいなくなってしまうんじゃないかって。今はこうやって肌と肌を重ね合わせているのに、消えてしまいそうで」
「……言い方」
見目の良すぎるシリルにそういうことを言われてしまうと、微妙な気持ちになる。
少年の頃から、彼は無自覚にこういった言葉を口に出してしまうのだ。
「ともかく、外出時は気をつけるようにしますので」
「うん、僕の方でも、もっと積極的に動くことにするよ」
彼がそう告げた翌日、国中に「魔王の傍らにいる人間は伝説の聖女エマの生まれ変わりである。害をなした者は重罰に処す」という内容のお触れが出た。
それから、私にむやみに絡んでくる者は、ピタリといなくなる。
魔族たちの本心はどうであれ、襲撃がなくなったのはありがたかった。
よほど気がかりなのか、シリルは私の部屋にまで入ってくる。
彼には前世のことでトラウマめいたものを与えてしまったかもしれない。
その罪悪感もあり、こういうとき、私は彼に甘くなってしまう。
「本当に私は大丈夫ですよ、シリル。どこも怪我していませんし、新しい魔法も試せましたし」
ベッドに腰掛けると、シリルも並んで座り、私の手を取って言った。
「わかってる、でも怖いんだ。前のときみたいに、知らないうちにエマがいなくなってしまうんじゃないかって。今はこうやって肌と肌を重ね合わせているのに、消えてしまいそうで」
「……言い方」
見目の良すぎるシリルにそういうことを言われてしまうと、微妙な気持ちになる。
少年の頃から、彼は無自覚にこういった言葉を口に出してしまうのだ。
「ともかく、外出時は気をつけるようにしますので」
「うん、僕の方でも、もっと積極的に動くことにするよ」
彼がそう告げた翌日、国中に「魔王の傍らにいる人間は伝説の聖女エマの生まれ変わりである。害をなした者は重罰に処す」という内容のお触れが出た。
それから、私にむやみに絡んでくる者は、ピタリといなくなる。
魔族たちの本心はどうであれ、襲撃がなくなったのはありがたかった。