追放された聖女はもふもふとスローライフを楽しみたい!~私が真の聖女だったようですがもう知りません!~


キーラン国の王城――その最上階にある王族の私室で、リマは不機嫌に頬を膨らませ窓の外を睨んでいた。

双子の姉、エマが処刑場から逃げ出して数ヶ月、キーランの王はエマを探すために国中に捜索隊を派遣した。

しかし、未だに見つからない。

エマのような特徴的な容姿ならば、すぐ捕獲されると思っていたが予想外だ。

「魔族混じりのネズミ女め、一体どこに潜んでいるの? さっさと出てきて捕まって欲しいわ!! あんなのが姉なんてゾッとする」

エマが聖女の力を使ったという騒ぎのせいで、リマとフィリペの結婚式が延期になってしまった。

一度は処刑しようとした女が、異世界人のスキルを持っている可能性が明るみに出て、国王や重鎮たちは躍起になってエマを取り込もうと動いている。

とはいえ、一度あんな目に遭ったエマが、素直に言うことを聞くとは思えない。

無理矢理連行し、奴隷のように働かせる気なのだろう。

「犯罪者ならタダ働きさせ放題ね。いい気味」
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