追放された聖女はもふもふとスローライフを楽しみたい!~私が真の聖女だったようですがもう知りません!~
きびすを返すと同時に、部屋の扉がノックされる。
「はい、どなた?」
今のエマは王子妃の扱いを受けている。そんな彼女のもとを訪れる人物は限られていた。扉を開けると、向こう側に第二王子のフィリペが立っていた。
「やあ、リマ。聞いたか? 魔族共の噂を……」
「いいえ、魔族がどうかしたのですか?」
キーランと魔族の国々は疎遠で、隣にあるモフィーニアとの交流も皆無。
魔族の国々へ向かう陸の入り口にあるモフィーニアには結界が張られており、侵入できないのだ。キーランから魔族の国へ向かうには、魔獣の出る森を通ってまっすぐモフィーニアを通り抜ける。その方法しかない。
こちらから向こうへ行くことはできないが、その逆は可能だ。
たまに、魔獣の出る森の辺りで魔族を見かけることがある。
モフィーニアの魔族は、人間との余計な軋轢を避けるために森の外へ出てはいけない決まりだ。
だが、ときが経つにつれてその効力は薄まり、最近では国境沿いで魔族の目撃が相次いでいた。国境沿いにある村の人間は、魔族と交流さえ持っているらしい。
どこにでも法を犯す者はいる。噂話も、そこから流れたものなのだろう。
「はい、どなた?」
今のエマは王子妃の扱いを受けている。そんな彼女のもとを訪れる人物は限られていた。扉を開けると、向こう側に第二王子のフィリペが立っていた。
「やあ、リマ。聞いたか? 魔族共の噂を……」
「いいえ、魔族がどうかしたのですか?」
キーランと魔族の国々は疎遠で、隣にあるモフィーニアとの交流も皆無。
魔族の国々へ向かう陸の入り口にあるモフィーニアには結界が張られており、侵入できないのだ。キーランから魔族の国へ向かうには、魔獣の出る森を通ってまっすぐモフィーニアを通り抜ける。その方法しかない。
こちらから向こうへ行くことはできないが、その逆は可能だ。
たまに、魔獣の出る森の辺りで魔族を見かけることがある。
モフィーニアの魔族は、人間との余計な軋轢を避けるために森の外へ出てはいけない決まりだ。
だが、ときが経つにつれてその効力は薄まり、最近では国境沿いで魔族の目撃が相次いでいた。国境沿いにある村の人間は、魔族と交流さえ持っているらしい。
どこにでも法を犯す者はいる。噂話も、そこから流れたものなのだろう。