追放された聖女はもふもふとスローライフを楽しみたい!~私が真の聖女だったようですがもう知りません!~
しばらくすると、どういうわけか、聖女食堂のお客が倍増した。今度は、これまで来店しなかった魔族たちが多い。

「試食品のお菓子や、差し入れを食べた魔族たちが、聖女様の料理に魅了されて押し寄せてきたっす!」

忙しそうにホールを動き回るテオが教えてくれる。

おかげで、聖女食堂は大繁盛し、私は忙しく料理を作り続けることになった。

聖女食堂は、今までにないくらい大賑わいだ。

「それにしても、人手が圧倒的に足りないですね」

厳しいのは、全員分の料理を全て私一人で作っているという現状だ。

モフモフは多いけれど、彼らに料理はできない。

下級魔族にできるのは、ホールで働く手斧補助や皿洗いや掃除くらいなので。

下ごしらえはテオに手伝ってもらえるけれど、開店時間中は私一人でキッチンを回さなければならない。

「せめて、料理ができる人が、もう一人いればなあ。いやでも、こんなのキーランにいと頃に比べると、どうってことないですよね。気合いを入れなきゃ!」

弱音を吐いてしまう自分を叱咤しながら、私は定食を作り続ける。それでも、混雑時にお客さんを待たせてしまうのは申し訳なかった。

ようやく開店時間が終わる頃には、もうヘトヘトだ。

今世の実家でこき使われていたので、自分が体力がある方だと思っていた。

しかし、食事も最低限しか与えられなかった獄中生活のせいで、思ったよりもひ弱になっていたらしい。
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