追放された聖女はもふもふとスローライフを楽しみたい!~私が真の聖女だったようですがもう知りません!~
「お疲れ様っす! 最後のお客を見送りましたよ」

「ありがとうございます、テオ。さあ、まかないを作りましょう」

まかないの言葉に、テオはもちろん、小さなモフモフたちも喜んで集まりだす。

「さてさて、本日の残っている食材は海鮮類とパン。お客さんがご飯派に偏ったのか、パンが少し多めですね――アヒージョでも作りましょうか」

テオたちは皆、不思議そうに首を傾げている。

この料理も、前世で作ったことがなかったっけ?

「余っている野菜や海鮮の下処理をして……」

鍋に油をたくさん入れ、にんにくと鷹の爪を投入。香りが出て来たら、キノコやエビなどの海鮮を入れて弱火で加熱。

カウンターには、モフモフたちがワクワクしながら集まっていた。

しばらくしたら、野菜を入れて塩や胡椒で味付けをして完成!

いくつかの皿に移し替え、テオが火を通してくれた温かいパンを添えてカウンターテーブルに置いていく。

瞬間、モフモフたちが皿に群がった。

おいしそうにアヒージョを頬張るモフモフは、口で器用にパンをオイルにつけて食べている。不器用な子のため、具材を取り出したバージョンも用意していたが、必要なかったかもしれない。

「聖女様、うまいっす! にんにくがたまらないっすね!」

にんにくファンは多く、かくいう私もその一人だ。食べたあとが匂うけれど、モフィーニア産のにんにくは、前世のものより匂い控えめなんだよね。

「それじゃあ、私も食べましょうか」

席に移動しようと一歩を不意出したところで、ぐらりと体が傾いだ。

「あ、あれ……?」

視界が揺らいで、足に力が入らないまま崩れ落ちていく。心配そうなテオに「聖女様!?」と、呼びかけられたのを最後に、私は意識を手放してしまった。
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