追放された聖女はもふもふとスローライフを楽しみたい!~私が真の聖女だったようですがもう知りません!~
目覚めると、私は自室に戻っていた。

窓の外は暗く、もう夜になってしまっている。食堂の開店時間は過ぎてしまっているので、今日の営業はできなさそうだ。

起き上がろうとして、すぐ傍に誰かがいることに気がついた。

「エマ、良かった。目が覚めたね」

「……シリル」

私の部屋の中まで入ってくるのは、彼くらいだろう。

「魔王城の医者は、過労から倒れたのだろうって言ってた。ここのところ、忙しく働いていたんだって?」

「自分の体力のなさが嫌になります」

「過労を侮ってはいけないよ、今日は休んで。食堂の片付けはテオたちがやってくれたから」

無理をして食堂に戻っても迷惑をかけるだけなので、私は素直に頷いた。復帰したら、皆にお礼を言わないと。

「ごめんね、エマ。少し店を広くしすぎたかな」

「シリルが謝ることではないですよ。素敵なお店を用意してもらって、私は感謝しているんです」

もっと手際よく料理ができればいいのだけれど、一人ではあれが限界だ。
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