追放された聖女はもふもふとスローライフを楽しみたい!~私が真の聖女だったようですがもう知りません!~
まだ混乱する私に向けて、笑顔の彼がたたみかける。

「冗談でこんなことは言わないよ。前世からずっと好き! できれば婚約したいと思ってる」

「婚、約!?」

「魔王妃が嫌なら、アルフィに魔王の座をあげればいいし」

「そんな簡単に……!!」

ああ、どうしよう、目の前の魔王は本気だ。本気で私に異性として好意を抱いている。

前世からシリルのことは、年の離れた弟として大事に思っていた。しかし、その日々は、彼にとって違う意味を持っていたようだ。

恐る恐るシリルに問いかける。

「あ、あの……」

「ん、何?」

甘い声音で、蕩けるような熱を帯びた視線で、シリルは私を捕らえる。

しかし、現在、私の脳は混乱のただ中にあった。なんとかして、気持ちを静めなければ!

今の心を落ち着かせるためには……!

じっとシリルを見た私は、余裕なく口を開く。もう我慢できない。

「とりあえず、シリルを、モフらせてくださいっ!!」

「うん? どうしてそうなるのかな? いや待てよ、この流れ、どう考えても恋愛フラグ!?」

ぶつぶつ言いつつ、シリルは椅子から降りて銀狐の姿になってくれる。

「ありがとうございますっ!」

言うやいなや、私は銀狐姿のシリルに飛びついた。

モフモフ、モフモフ、スーハー、ああ、落ち着く。シリルもなんだかハァハァしているし、喜んでくれているのかな?

思う存分、柔らかなモフモフを堪能した私は、シリルを抱きしめたまま眠ってしまったのだった。
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