追放された聖女はもふもふとスローライフを楽しみたい!~私が真の聖女だったようですがもう知りません!~
翌朝、目を覚ますと大人の人型姿のシリルに、私の方が抱きかかえられている。

シリルは目をつむったままで、熟睡しているみたいだ。

昨日告白されてしまったので、接し方がわからず戸惑ってしまう。

よし、今のうちに出かけてしまおう。

そう思って起き上がると……

「ひあっ!」

後ろから細い腕が伸びてきて私を引き戻す。

「おはよう、エマ。愛しているよ」

「……おはようございます、シリル。昨日の件ですが私、あなたのことを、弟以外の目線で見たことがなくて。だから、婚約やら魔王妃やら、考えられないんですよね」

「一晩にして天国から地獄へ突き落とされた!!」

シリルは布団の中へ帰っていったが、数秒でガバッと顔を出して告げる。

「僕は諦めない。エマより百歳ほど年上なんだから、いつまでも待つよ。君を失うことに比べれば、このくらいどうってことないさ」

シリルは余裕のある大人の男ぶりをアピールし始めた。

しかし、言葉がいちいち重い。

「僕が君を想うのは自由でしょ?」

「ソ、ソウデスネ……」

勢いに押された私は、つい頷いてしまった。
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