追放された聖女はもふもふとスローライフを楽しみたい!~私が真の聖女だったようですがもう知りません!~
そのあと、準備をすませた私は、急いで食堂へ向かう。

昨日のことを皆に謝らなければならない。

二階へ到着すると、テオが私を出迎えてくれた。

「聖女様! もう体調は大丈夫なんすか!?」

「昨日は心配をおかけしました、もう大丈夫です。後片付けができなくて、ごめんなさい」

「そんなのはいいっすよ、チビたちと、すぐ終わらせましたし。アヒージョ、うまかったし」

ピョコンと飛び出た耳と尻尾が、彼の声に合わせてピクピク動いている。

いつかモフらせてもらいたいな。恥ずかしくて言えないけれど。

そんなことを考えていると、シリルが数人の魔族を引き連れて店に入ってきた。

「エマ、ちょうど良かった。君に紹介したい人がいるんだ。昨日話していた件だけれど……」

そう言って、振り返るシリルの傍には、ゴツゴツムキムキした体の、背の高いお兄さんたちが並んでいた。

「この方たちは?」

問いかけると、よくぞ聞いた暮れたという風に、後ろの魔族たちが動く。

「我らッ!」

「筋肉料理人!!」

「ですぞっ!」

それぞれがマッチョなポーズをとりながら、自己紹介する。

思わず、拍手してしまった。

「この人たちは、魔王城に勤める今の料理長と副料理長、パティシエだ。エマの料理のファンで、前々から君に紹介して欲しいと訴えていた。そろそろうるさくなってきたから、連れてきたんだ」

「お会いできて、感激ですぞー!! 聖女様!!」

料理長たちの圧に押されながら、私は「どうも……」と、挨拶する。
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