追放された聖女はもふもふとスローライフを楽しみたい!~私が真の聖女だったようですがもう知りません!~
「エマ、料理長たちが食堂の仕事を手伝いたいと言っているんだけど」

「ありがたいお話ですが、本来のお仕事は大丈夫なのですか?」

「その辺りは、人数がいるからね。交代で回せばいいかなって」

「なるほど……」

「近くで聖女の料理を見て学びたいという者が大勢いて……エマさえ良ければどうかと思ったんだけど。もちろん、皆、君の指示に従うと言っている」

助っ人が増えるのはありがたい。

でも、プロの料理人に自分が指示を出すなんて、恐れ多い気もする。

「手伝っていただけるのはありがたいですが、本当にいいのですか?」

「願ってもいないことです! 聖女様と一緒に働くことが許されるなんて!!」

筋肉をムキムキ言わせながら近づいてくる彼らに対し、私は黙って頷くことしかできなかった。
「シリル、ありがとうございます」

「大好きなエマのためだからね。僕は仕事があるから、これで」

ひらひらと、魔王らしく手を振って戻っていくシリル。こういうところは大人になったなあと思うけれど……
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