追放された聖女はもふもふとスローライフを楽しみたい!~私が真の聖女だったようですがもう知りません!~
「最初に『結界の外に出てはならない』というルールを破ったのは誰? 資料によると、君には一度、キーランでしか手に入らない品をモフィーニアで密売をした逮捕歴があるね。にもかかわらず、再び同じ罪を犯した」

シリルの口調はあくまで優しく穏やか。

でも、背筋が凍るような冷たさを孕んでいる。

「あげく、キーランの人間に捕まって、いいように利用され、命惜しさに仲間を誘拐し、モフィーニアの情報を横流しし、呪いが解ければ被害者面」

「……っ! それは……っ!」

「僕はね、お前のような奴が嫌いだよ。お前のような奴をなんと呼ぶか知っている? 売国奴と言うんだよ? 命が惜しければ、詳しい話を全部教えろ」

他の誘拐犯たちも、魔王の言葉を聞いて震え上がった。

中には、呪いを受けた魔族に誘拐され、キーランに連れて行かれた被害者もいるのだが、そういった人物はアルフィが部下に命じて別の牢屋に移動させている。

最初に捕まった誘拐犯たちは、我先にと状況を白状し始めた。
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