追放された聖女はもふもふとスローライフを楽しみたい!~私が真の聖女だったようですがもう知りません!~
それから、シリルやエマたちは、キーラン国へ向けて出発することになった。

呪いが解けた魔族に案内を任せ、残りの魔族が捕らえられている場所を目指す。

「王城に、皆が捕まっているのですね?」

エマの問いかけに、案内役の魔族が答えた。

「中級以上の魔族は、呪いを施されてモフィーニアに送られます。しかし、捕まってしばらくは下級魔族たちと一緒に城の牢屋にいるはずです」

「わかりました、急ぎましょう。まず、私が向こうと交渉します……」

うまくいかない可能性が高いが、話し合おうとした姿勢が大事なのだ。

おそらく、魔族たエマを下に見ているキーランの者たちは、乱暴な方法でこちらを捕らえようとするだろう。

エマだけでなく、他の魔族にも攻撃するに違いない。

高慢な彼らは、魔族側の主張には耳を傾けないのだ。キーラン国が攻撃してくれば、モフィーニア側が反撃できる口実ができる。

「やり遂げなくてはいけないね」

面倒ごとは手遅れにならない前に片付けて、今世こそはエマに食堂で気兼ねなく料理を作って欲しいから。

そのためにも、シリルは精一杯頑張ろうと思った。
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