追放された聖女はもふもふとスローライフを楽しみたい!~私が真の聖女だったようですがもう知りません!~
国民から巻き上げた税金をつぎ込み、豪華さを保っている謁見室には、国王と第二王子のフィリペ、リマの家族も揃っている。

そんな中、兵士たちに引き立てられ、後ろ手を縛られたエマが俯きがちに進んでくる。もっと落ちぶれているかと思ったけれど、寄生先が良かったのか、以前はガリガリだった体に肉がつき、服だって並の貴族よりいいものを身につけている。

何もかも、面白くなかった。

――呪われた娘のくせに! 生意気なのよ!

赤い絨毯の上に床に膝をつかされたエマを見て、上座にいたフィリペが噛みつく。

「この国賊が! 手間をかけさせやがって!」

今にも走りだし、エマを切り捨てそうな勢いだ。

フィリペは地位も金も持ち、容姿の優れた相手だけれど、少し頭に血が上りやすいところがある。ただ、リマには優しい。
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