追放された聖女はもふもふとスローライフを楽しみたい!~私が真の聖女だったようですがもう知りません!~
怒鳴っていると、脇に控えていたリマの両親も、一緒になってエマを糾弾し始めた。

「そうだ! 侯爵家に置いてやった恩も忘れて……いかにも魔族らしい真似だな!」

「まったく、そのとおりだわ! おかげで、母親なのに何も知らないと恥をかいちゃったじゃないの! どうしてくれるのよ!!」

両親の声で勢いづいたリマは、エマの髪の毛を掴み上げて勝ち誇った声を上げる。

「さあ、早く陛下の質問にお答えするのよ!!」

痛みに顔を歪めたエマは観念したのか、ようやく首を縦に振った。

――さっさと白状すればいいものを。手間をかけさせないでよね!

リマが手を放すと、地面にぐしゃりと丸まりながら、エマが話し始める。

「……私の職業は……聖女、です」

「やはり、そうか!」

エマの答えを聞いて、国王がギラリと目を輝かせる。

「して、なにゆえ今まで、そのことを黙っていた」

「自身のステータスが見えなかったからです。処刑される直前まで、私の職業はおろか、スキルさえ表示されませんでした」

離れたところから、リマの両親とフィリペが「嘘をつくな!」と怒鳴っている。

「……鑑定のスキルを持つ人がいれば、私が嘘を言っていないと証明できますが」

「そんな人間、いるわけがないだろう! 鑑定スキルを持つ者が、どれだけ珍しいと思っているんだ! 大陸中を探しても、見つかるかわからないくらいだぞ!」

国王の代わりにフィリペが叫ぶ。リマも婚約者に便乗した。

「本当、この期に及んで嘘をつくなんて、双子の姉ながら浅ましいったらありゃしないわ」
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