追放された聖女はもふもふとスローライフを楽しみたい!~私が真の聖女だったようですがもう知りません!~
――凶暴な虎や狼の姿なら使えたかもしれないけれど、子兎や子猫、子犬や子豚じゃね……
国王は棒の先端をエマへ向けて話しだす。
「聖女の力、我々が国のために活用してやろう。ありがたく思え」
棒の先端が光り、魔法陣のような模様が浮かび上がる。
まっすぐに伸びた光が魔に到達しそうになったそのとき、国王が「痛いっ!」と、悲鳴を上げて棒を取り落とした。カラカラと音が鳴って、棒が床を転がっていく。
「陛下!! どうされました!?」
「何者かが、私の手を払ったんだ!」
「し、しかし、誰もいませんが……」
謁見室がにわかに騒がしくなる。
確かに、陛下の近くにいるのは役人とフィリペだけで、他の者は見当たらない。
となると……
「エマ、あんたがやったのね!!」
「えっ?」
「とぼけんじゃないわよ! この中で、得体のしれない魔法を使える奴なんて、あんたしかいないのよ!! もういいわ、私が隷属印を使ってやる!」
国王の落とした道具を取りに行こうと辺りを見回すが、どこにもそれらしきものはない。
「あら、どこへいったのかしら」
広い謁見室には壁際のカーテン以外に障害物はない。
――床に落ちたなら、すぐにわかるはずなのだけれど……
やっぱり、金色の棒は見当たらなかった。もしかしてと思い、エマを振り返る。
国王は棒の先端をエマへ向けて話しだす。
「聖女の力、我々が国のために活用してやろう。ありがたく思え」
棒の先端が光り、魔法陣のような模様が浮かび上がる。
まっすぐに伸びた光が魔に到達しそうになったそのとき、国王が「痛いっ!」と、悲鳴を上げて棒を取り落とした。カラカラと音が鳴って、棒が床を転がっていく。
「陛下!! どうされました!?」
「何者かが、私の手を払ったんだ!」
「し、しかし、誰もいませんが……」
謁見室がにわかに騒がしくなる。
確かに、陛下の近くにいるのは役人とフィリペだけで、他の者は見当たらない。
となると……
「エマ、あんたがやったのね!!」
「えっ?」
「とぼけんじゃないわよ! この中で、得体のしれない魔法を使える奴なんて、あんたしかいないのよ!! もういいわ、私が隷属印を使ってやる!」
国王の落とした道具を取りに行こうと辺りを見回すが、どこにもそれらしきものはない。
「あら、どこへいったのかしら」
広い謁見室には壁際のカーテン以外に障害物はない。
――床に落ちたなら、すぐにわかるはずなのだけれど……
やっぱり、金色の棒は見当たらなかった。もしかしてと思い、エマを振り返る。