追放された聖女はもふもふとスローライフを楽しみたい!~私が真の聖女だったようですがもう知りません!~
「エマの仕業でしょ! どこへ隠したの!」
睨み付けると、エマは困ったように眉尻を下げた。
「まさか。ここから一歩も動いていないのに?」
落ち着き払って冷めた眼差しが、いつにも増してリマのかんに障る。
「あんたが、おかしな力を使ったに違いないわ! 魔族の力でも使ったんでしょ!」
「私は人間ですし。普通の魔族も、それほど万能ではないのですが……」
「片眼の赤い呪われた娘が、人間のはずないでしょう!?」
「ですが、長い歴史を辿っても、魔族から聖女が出たことはないらしいので」
「うるさい、生意気よ! エマのくせに、黙りなさいよ!!」
再びリマが手を振り上げた瞬間、謁見室の扉が大きな音を立てて開け放たれた。
続いて、麗しく澄んだ男性の声が響いた。
「揃いも揃って、ここはクズの巣窟だね」
驚いたせいで、リマは手を挙げたまま動きを止めてしまう。
現れたのは、銀髪に赤い目をした、フィリペなんて、目ではないくらい絶世の美男子だった。
――どうしよう、魔族なのに格好いい。
リマは昔から、見た目のいい異性が大好きだ。
「エマ、もういいよ」
美青年がエマに話しかけると、エマの体が光って彼女を押さえつけていた兵士が壁まで吹き飛んだ。
「なっ……!?」
目の前の恐ろしい光景を見て急に怖くなる。
自分まで吹き飛ばされては敵わないと、リマは足を後退させた。
「なんなの、なんなのよ、あんた……! 何をしたのよっ!!」
エマは無言で立ち上がり、服についた汚れを払った。無視かよ!
睨み付けると、エマは困ったように眉尻を下げた。
「まさか。ここから一歩も動いていないのに?」
落ち着き払って冷めた眼差しが、いつにも増してリマのかんに障る。
「あんたが、おかしな力を使ったに違いないわ! 魔族の力でも使ったんでしょ!」
「私は人間ですし。普通の魔族も、それほど万能ではないのですが……」
「片眼の赤い呪われた娘が、人間のはずないでしょう!?」
「ですが、長い歴史を辿っても、魔族から聖女が出たことはないらしいので」
「うるさい、生意気よ! エマのくせに、黙りなさいよ!!」
再びリマが手を振り上げた瞬間、謁見室の扉が大きな音を立てて開け放たれた。
続いて、麗しく澄んだ男性の声が響いた。
「揃いも揃って、ここはクズの巣窟だね」
驚いたせいで、リマは手を挙げたまま動きを止めてしまう。
現れたのは、銀髪に赤い目をした、フィリペなんて、目ではないくらい絶世の美男子だった。
――どうしよう、魔族なのに格好いい。
リマは昔から、見た目のいい異性が大好きだ。
「エマ、もういいよ」
美青年がエマに話しかけると、エマの体が光って彼女を押さえつけていた兵士が壁まで吹き飛んだ。
「なっ……!?」
目の前の恐ろしい光景を見て急に怖くなる。
自分まで吹き飛ばされては敵わないと、リマは足を後退させた。
「なんなの、なんなのよ、あんた……! 何をしたのよっ!!」
エマは無言で立ち上がり、服についた汚れを払った。無視かよ!