追放された聖女はもふもふとスローライフを楽しみたい!~私が真の聖女だったようですがもう知りません!~
出発前、私はシリルやアルフィと一緒に、誘拐された魔族たちを取り戻す計画を立てた。シリルは私がキーラン国へ向かうことに反対していたけれど、粘り強く説得した結果、最後は意見を受け入れてくれた。

その代わり、私はモフィーニア側が決めた作戦どおりに動く必要がある。

今回の作戦は、誘拐犯に攫われ呪いをかけられていた魔族に協力してもらい、私が捕まったふりをするというものだ。

私を城へ連れてきた誘拐犯役の魔族は、すでに呪いを解いてある味方で、緊張しながらキーラン国の言いなりになっている演技を続けてくれた。

キーラン国の兵士に私を引き渡したあとは、下級魔族の救出に協力すべく、牢屋にシリルたちモフィーニアの魔族を手引きしている。

残りの魔族はシリルも含め、とらわれた下級魔族の救助に当たり、その後は謁見室の前に隠れて待機していた。

「シリル、下級魔族たちは?」

「全員無事だよ。捕まっていた者は皆解放したから」

「良かった」

実はリマにはたかれたり、家族や第二王子に暴言を浴びせられている間、シリルが飛び出してきやしないかとヒヤヒヤしていた。

別に飛び出しても問題ないけれど、それでは計画の遂行が困難になる。

隷属印……金の棒を確実に奪う必要があったので、向こうが持ち出してくるまで、私は敢えて待っていたのだ。
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