追放された聖女はもふもふとスローライフを楽しみたい!~私が真の聖女だったようですがもう知りません!~
さっさと帰ろうとした私たちだったが、後ろから声がかかった。

「ふざけるな!! 何を勝手に帰ろうとしている!!」

顔を真っ赤にさせた第二王子のフィリペだった。いつの間にか、彼はリマの近くまで移動していて、私とシリルを睨み付けていた。

「そこの者たちを捕らえよ!」

王子の言葉に突き動かされたように、国王が声を張り上げる。

ハッとして動きだす兵士たちは、しかし私の風魔法で全員吹き飛ばされ、最初に飛ばされた兵士と同様、壁とお友達になった。

「くっ! 呪われた娘め! やはり、あのとき処刑しておくべきだった」

「おい、他の兵士はまだか!! 早く謁見室に集まらせろ!! 呪われた半魔族の化け物を捕らえるのだ!」

国王と第二王子は憎々しげに顔を歪めた。私の元家族は、怪物でも見るかのように私から距離を取っている。

「私は人間ですし、呪われてなんかいません」

記憶が戻ってから、ずっと、不本意に思っていたので、この機会に訂正しておこう。

「これは呪いではなく、大切な友人が送ってくれた加護です」

フレディオが私にくれた、新しい人生。半分赤くなってしまった瞳だけれど、魔族の仲間に入れたようで私は嬉しい。

「エマ、こいつらと話しても無駄だよ。行こう」

「うん……」
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