追放された聖女はもふもふとスローライフを楽しみたい！～私が真の聖女だったようですがもう知りません！～

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前世の私は、二十三歳の平凡な居酒屋店員だった。

料理を作るのが大好きで、趣味が高じて社員として調理場で働いていたのだ。

楽な仕事ではないし給料も高くはなかったけれど、ここで修行をして、いつか自分の店を開くという夢を持っていた。

調理場で働く仲間には、同じ目標を持つ人が多かったのを覚えている。

そんなある日、仕事を終えた私が家に向かっている途中に事件は起こった。

場所は深夜の駅前で、近くでは若者の集団が騒いでいた。今時のおしゃれな子たちで、そこそこ格好いい男子の中にとても可愛い女子が一人。

――こんな時間に元気だなあ、高校生くらいかな。

感心しつつ前を通り過ぎようとすると、突如地面が青く光りだした。

「えっ……？」

突然の怪奇現象に、高校生たちも悲鳴を上げている。

普段は強気な若者でも、想定しない事態を前にパニックになっているようだ。

その間にも光はだんだん大きくなり、私たちを飲み込んでいった。