追放された聖女はもふもふとスローライフを楽しみたい！～私が真の聖女だったようですがもう知りません！～

そのタイミングで、後ろに倒れていた女の子が目を覚ます。

「きゃあっ！　なんなの!?」

女の子は勢いよく立ち上がって、甲高い声を出した。

謎の人々も、私と女の子を見て驚きの声を上げている。

「なんと、聖女様が二人!?　いや、一回の召喚で聖女は一人しか呼ばれないはず」

彼ら曰く、私と女の子は日本から異世界に召喚されたとのこと。

今いる国はキーランといい、豪華な服を着ているのが王様で、隣にいるキラキラしたイケメンが王子様だそう。

キーランは、森を隔てた先にある魔族の国に侵略される危機に瀕していた。

魔族たちは手強く、国内の人間では対処できないので、異世界から聖女を呼び出したのだという。

召喚で呼び出した異世界人は、この世界の人間よりも優れた能力を持っているのだとか。

しかし、それを聞かされた私の感想はただ一つ。

「そんな、めちゃくちゃな」

……だってこれ、どう考えても立派な誘拐ですよね？

けれど、一緒に呼び出された女子高生のスミレは、私とは違う考えを持っていたみたいだ。

「ええっ、本当ですかぁ？　すごぉい、嬉しい！」

彼女は、この状況を歓迎していた。

目をキラキラさせ、現状を喜んでいる。