追放された聖女はもふもふとスローライフを楽しみたい!~私が真の聖女だったようですがもう知りません!~
「やっぱり、確実な方法は一つしかない……よね」

スキルが成長したことで、私でもモフィーニアを守れる方法が一つだけ生まれた。

――でも、それを行うには、私の命をかけなければならない。

フレディオのおかげで生まれた可能性。

結界のスキルのレベルが特大になり、巨大な結界が張れるようになった。モフィーニア全体を包むことも可能かもしれない。

命がけの結界は、術者が死んでも半永久的に消えないという。

「仕方がない……かな」

フレディオに会わなければ森で失われていた命だし、彼や親切な魔族のために使うのも悪くない。こちらの世界に来てから、感覚が変になっているのかも。

私は天に向けて手をかざす。

結界を張る手順はいつもどおり。ただ、範囲が桁違いに広く、頑丈さも今までの比ではないというだけ。

せっかく、魔王の位をもらったけれど……

「シリル、ごめんなさい。あとはあなたに託します」

視界が白く染まり、体から力が抜けていった。同時に結界が広がり、人間たちをモフィーニアの外に押し出していく。

でも、確かな手応えがあり、しばらくして結界が完成したのがわかった。

私の命と引き換えに――
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