追放された聖女はもふもふとスローライフを楽しみたい!~私が真の聖女だったようですがもう知りません!~
子供の頃からずっと、そういう状態だった。

何かとても温かなものがあった気がするのに、思い出さなきゃいけないのに……

何も思い出せないまま、焦燥感だけが募っていく。

「さて、そろそろ行かないと。また文句を言われてしまうわね」

掃除、洗濯、料理。エマの仕事は山ほどある。

他の使用人もいるのだが、エマが中心となり全ての雑用をするよう言いつけられているのだ。

それもこれも、妹が「そんなもの、全部エマにやらせればいいのよ。私たちに迷惑をかけ続けているのだから」などと言い出したからである。

家族の私に対する扱いを見た他の使用人たちも、ずっと私を邪険にしている。

皆、私の赤い目が怖いのだ。

私自身も自分が不気味なのはわかっていた。

ステータスが、そもそもおかしいのだから。
< 80 / 211 >

この作品をシェア

pagetop