追放された聖女はもふもふとスローライフを楽しみたい!~私が真の聖女だったようですがもう知りません!~
しかし、妹のリマがなぜかフィリペに便乗してトンデモ理論を繰り出した。

「そうよ! これはエマの仕業なのよ! 魔族に浮気をし、言いなりになって、このような罪を犯したのだわ! 私、止めたのに。エマに『余計なことをするな』と頬を打たれ、みぞおちを蹴られて……とっても痛かったの!」

「……そんなこと、した覚えはありませんけど」

むしろ、いつもされている側なんですけど?

「嘘を言わないで! 酷い、エマったら。私を悪者にする気なのね」

リマは甘えるようにフィリペにしなだれかかった。

彼女の大きな胸が王子の腕に押しつけられているのを見て、会うたびに二人の親密度が増しているのだなと他人事のように考える。

「大丈夫だリマ。この女は俺が処罰するから。それに、言い逃れのできない、もっと確固とした証拠だってある」

自信満々な彼の様子に、私は首を傾げた。

すると、フィリペはスッと腕を上げて、勢いよく私の顔を指さす。

「最大の証拠は、お前のその外見だ!!」

「はぁ?」

思わず、素っ頓狂な声が出てしまった。証拠が外見って、どんな屁理屈なの?

「お前のその呪われた赤い目。容姿は偽れないだろう」

堂々と無茶なことを言われても困る。これは、第三者に知らせるべきだろうか。

悩んでいると、見計らったかのようなタイミングで両親が部屋に顔を出し、凍てついた視線で私を睨み据えた。
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