追放された聖女はもふもふとスローライフを楽しみたい!~私が真の聖女だったようですがもう知りません!~
「え? お姉さん、町人なの?」

不思議そうに見てくるスミレに向けて頷く。

「そうです」

あなたと同じですよという意味も込めて微笑んだ。

「へえ、ふぅん?」

何かを考え込むスミレは何かを迷うっている雰囲気で、ややあって口を開いた。

「私、聖女ですっ!」

「へっ……!?」

「こっちのお姉さんは、召喚に巻き込まれただけみたい!」

職業名を耳にした人々が、一斉にスミレに群がった。

「おお、聖女様! 我々をお救いください!!」

「フフン、もちろんよ。でもぉ、聖女って何すればいいですかぁ?」

王太子に近づいたスミレは、彼を上目遣いで見つめている。好みだったようだ。

備考欄に「玉の輿志望」って書いてあったものね。
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