あなたは私の救世主!~俺様ドクターの命じるままに
『お母さん明日仕事が入っちゃって、一緒に病院
行けないんだけど1人で大丈夫?』

『大丈夫!もう大人なんだし』

『ふふっ、帰りは迎えに行くから外来のお部屋で待っててね』

『うん。』


退院から1週間後の受診。
みくるはタクシーで病院へ行き、真っ直ぐVIP
フロアへ向かった。
あれから聖人は何度もメールをくれたけれど、
なんて返事をすればいいのか分からなかった。


『こんにちは。今日は1人?』

『……うん』

まず診察に来たのは神田先生。葵も一緒だった。

『調子悪いところはないかい?』

『………』

『今日は水野先生が診察してもいいかな?』

『………』


嫌とは言えず、葵が側に来て診察を始めた途端
涙が出てきてしまった。

『ぇ…みくるさん?』

『…神田先生がぃぃ……』

『あ、ごめんごめん。僕が変わるよ。
この後の採血は看護師が来るからね』


葵は拒否された事に納得いかない様子で、
神田先生と病室を出ると、間もなく看護師と一緒に平井先生が急ぎ気味で入ってきた。

『みくる、どうした?』


平井先生の顔を見たみくるは号泣し、
左腕は採血をされながら、右手は先生が優しく
握っていてくれた。

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