あなたは私の救世主!~俺様ドクターの命じるままに
蘭子がニヤつきながら聖人に話しかける。

『柊先生、今日はなんだか元気ないですね~』

『ぇ…そんな事ないですよ!これ、どこに運べばいいですか?』


みくるのいない健診。
聖人は何か物足りなく感じながら、
淡々と診察をこなしていた。


『次の方どうぞ。』

『すみません、この子障害があるので私も
付き添いで入ってもよろしいですか?』

『あ、どうぞ。』

『じゃあ息吸ってください』

『ふぅーーー』

『まりちゃん、ふぅーは吐いてるの!そうじゃなくて吸うのよ!』

『……すぅーーーーー』

『まりちゃん!声出しちゃだめよ!先生ちゃんと聞こえないでしょ!すみません先生……』

『大丈夫ですよ。そのまま楽にしてていいからね』

聖人は優しく微笑んでまりちゃんをリラックスさせ、聴診器を当てた。

『はい!よく出来ました。』

『先生、ありがとうございます。』

するとまりちゃんはポケットから飴を取り出し
聖人に差し出した。

『ん?』

『これ、あげる』

『飴?いいの?』

満面の笑みで頷くまりちゃんを見て聖人は
みくるを想った。

『ありがとう』


みくるのお陰で、聖人は体だけじゃなく、
人を診れるようになった気がしていた。

そして急にみくるに会いたくなった聖人は
健診が終わると家ではなく病院へ向かった。

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