翠玉の監察医 アイネクライネ
「何その鬼ごっこの怖い版みたいなの」

「ここ三階だけど、脱出なんて楽勝だろ」

確かに、蘭がこの教室に入るまでにアーサーやその仲間の姿を見ることはなかった。銃やナイフといった凶器も見当たらなかった。しかし、敵の巣の中にいることに変わりはないのだ。どこから命を狙われているかわからない。そう、これは本当に命を賭けたゲームだ。

蘭は一瞬にして気配を感じ取る。この学校の向かい側にも三階建ての建物があった。そこから気配を感じる。

「伏せなさい!」

蘭がそう言い窓に近い子どもたちに覆い被さった刹那、遠くから銃声が響いてきた。それから数秒もしないうちに窓ガラスが破壊され、教室にガラスの雨が降り注ぐ。

「きゃあぁぁぁぁ!!」

「えっ?えっ?何なんだよ!」

子どもたち全員がパニックになるのに時間はかからなかった。蘭は全員を落ち着かせようとするが、次々と向かいの建物から発砲され、それが子どもたちをますますパニックにさせていく。
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