翠玉の監察医　アイネクライネ
「危ない！！」

子どもたちの叫びは、蘭の耳には届かなかった。ただ全神経を集中させ、引き金に指をかける。刹那、乾いた音が響いた。

「ううっ……」

蘭の撃った銃弾は、男の腕を貫いていた。男の腕から血が流れていく。しかし、男はまだ銃を蘭たちに向けようとしていた。蘭は容赦なく発砲し、足を撃ち抜く。

「急所は外しました。これ以上撃たれたくなければ……銃を捨ててください」

蘭は銃を構え、相手を見下ろす。男は諦めたような顔を見せ、銃を地面に置いて蘭に向けて滑らせた。蘭は銃を奪い取り、男の止血をした後に拘束を済ませた。

「もうすぐで一階です。玄関から出るのは危険ですので、窓から脱出してください」

蘭はそう子どもたちに言い、物陰から出てきた男たちを攻撃して気絶させる。その早さに、子どもたちは何度目かわからない驚きの表情を見せていた。

廊下を走り、階段を降り、蘭は子どもたちを一階へと降りることができた。一階に降りることができれば、子どもたちを窓からいつでも逃すことができる。
< 20 / 41 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop